食中毒の対策

高齢者の食中毒予防

1年を通して猛威を振るう食中毒。

 

体力や抵抗力の弱った高齢者では、命に関わる危険があるため注意が必要です。

 

気をつけたい食中毒対策

 

食中毒予防には、3原則と呼ばれる対策の方針があります。

 

  • 菌をつけない  :食材に付着した細菌を洗い流す、新たに細菌を付着させない
  • 菌を増やさない :温度管理を徹底し、細菌の増殖を防ぐ
  • 菌を殺す    :加熱などによって細菌の感染力を失わせる

 

これらの基本方針に沿うことで、体内に入る細菌やウィルスを減らし、食中毒のリスクを下げることができます。

 

以下、原則に沿って、気をつけたい食中毒対策を考えてみましょう。

 

手洗いを正しく行う

 

手洗いは、もっとも基本的で効果の高い食中毒予防法です。手や指についた菌を洗い流すことができるため、どの菌やウィルスに対しても効果を上げられます。

 

食事の準備や盛り付け、食べる前には必ず正しい手順で手を洗うことが大切です。

 

手のケガや傷がある人は調理を行わない

 

手にケガや傷がある人は、黄色ブドウ球菌による食中毒の危険があるため、原則調理を行ってはいけません。

 

どうしても調理を行う必要があるときは、手袋を着用して、細菌が食材に付着するのを防ぐ必要があります。

 

食材を流水で十分に洗う

 

土が付いている野菜には、土の中の菌がそのまま付いていることがあります。

 

まず、まな板の上に乗せる前に、全体と根の部分などをよく流水で洗い流しましょう。

 

まな板・包丁を、野菜と肉類で替える

 

生の肉類の表面には、食中毒の原因菌であるカンピロバクターや腸管出血性大腸菌O-157が付着していることがあります。

 

そのため、生の肉類が触れたまな板や包丁で、そのまま他の食材、とくに生で食べる食材を調理することは、これらの菌を付着させることにつながります。

 

これを防ぐために、野菜→魚・肉類の順序でまな板を使う、生の肉類が触れたまな板や包丁は洗浄してから使う、まな板と包丁を野菜用と肉類用と別々に用意する、などの対策が必要です。

 

食材の適切な保存温度を保つ

 

細菌は、温度10℃以下で生育が徐々に抑えられ、マイナス10℃以下になると、ほとんど増殖できなくなります。

 

したがって、食材を保存するときは、菌が増えるのを防ぐために、適切な温度に保つ必要があります。

 

冷蔵保存や冷凍保存が必要な食材は、購入後はできるだけ早く冷蔵・冷凍庫に保存して、温度が上がり過ぎるのを防ぎましょう。

 

また、冷凍した肉や魚を解凍する際は、使う分だけ解凍するようにしましょう。

 

まとめて解凍して、使わない分を再冷凍する方法では、細菌を増やした状態で再保存することになり、低温保存の効果が半減します。

 

調理後2時間以内に食べてしまう

 

食中毒を防ぐためには、「食事は調理後2時間以内に食べてしまうことが望ましい」とされています。

 

もし、作ってから食べるまでに2時間以上の時間が空く場合は、速やかに冷蔵・冷凍保存を行い、長い時間常温で放置することがないようにしましょう。

 

そして、作り置きした食事で、わずかでも見た目や臭いなどに不安があったら、安全のために、迷わず廃棄するようにしましょう。

 

中心温度75℃で1分以上の加熱を行う

 

食中毒の原因菌の多くは、75℃1分以上の加熱によってほとんどが死んでしまいます。そのため、食中毒の予防のためには、食材を加熱する際に、「中心温度75℃で1分以上」の加熱を行う必要があります。

 

これは、冷蔵・冷凍保存していた食事を再び温めるときにも当てはまることです。

 

「中心温度75℃で1分以上」とは、たとえば厚切りのステーキであれば、肉の中心部までしっかり75℃になった状態を1分以上保つことです。

 

表面だけが75℃になっても、中心部の温度は低い場合もあるため、注意が必要です。

 

温度の測定には、調理用の計測器(市販されています)を使うのが望ましいですが、もし用意できない場合は、十分に加熱を行うよう意識しましょう。

 

消毒用エタノール、台所用漂白剤を利用する

 

まな板や食器、布巾類は、定期的に消毒・殺菌を行いましょう。

 

消毒には、台所用の消毒用エタノールか、70%エタノール溶液を使用します。これにより、一部を除くほとんどの細菌を死滅させることができます。

 

調理器具の使用後、まな板の洗浄後に、水気を十分取り除いてから、スプレーで吹きかけましょう。

 

また、殺菌には、家庭用の漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム容器)を使います。これを薄めた溶液に、まな板や食器、布巾を10〜30分ほど漬け込むことで、細かい部分に付着した細菌も死滅させることができます。

 

ただし、次亜塩素酸ナトリウム溶液は、金属を腐食させる性質があるほか、使用できない材質もあるため、事前に確認をしておきましょう。

 

特別な注意が必要なノロウィルス対策

 

冬場の食中毒の代名詞ともいえるノロウィルスは、以下のような性質があるために、特別な対策が必要になります。

 

  • 消毒用エタノールでは死なない
  • 75℃1分以上の加熱でも死滅しない
  • 乾燥した嘔吐物からも感染する(飛沫感染)

 

このような性質のために、ノロウィルス対策は、他の細菌とは分けて考える必要があるのです。

 

具体的には、通常の食中毒対策に加えて以下のような対策が必要です。

 

  • 家庭用の漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム溶液)を使って消毒を行う
  • ノロウィルス感染の危険性が高い食材(カキなどの二枚貝)は、加熱をより十分に行い、生食は絶対にしない。
  • ノロウィルスに感染していると考えられる嘔吐物や糞便は、マスク、エプロン、手袋を着用の上、次亜塩素酸ナトリウム溶液で消毒してから処理する。処理後、使用したマスク、エプロン、手袋は廃棄する。

 

ノロウィルスは、冬場に集団感染が発生しやすく、とくに高齢者では、命に関わる危険性が非常に高い食中毒です。細心の注意を払いましょう。

 

高齢者にとって食中毒は、命に関わる重大な問題です。

 

毎日の調理の際に、食中毒の予防を意識して取り組んでいきましょう。